ルイ・カイエ_最新ダブルス入門_vol.01「テリトリーの言葉を覚えよう」_初心者から国際レベルのプレーヤーまで、同じアプローチで上達できる!
戦術
なぜ今、どのチームもIフォーメーションをやるのか
レシーバーのショット位置がテリトリーの基準となる
Iフォーメーションはやりやすい
ダブルスはかつての3セットマッチから、早く試合が決まるようにルールが変わり、以前よりもシングルスプレーヤーがダブルスに目を向けることが多くなっています。ネットプレーをあまりしないプレーヤーがダブルスをやることになり、サービスを打った後にベースライン付近にステイしたり、リターンの際に2人ともベースラインにステイするなどのプレーが多く見られるようになりました。また、パワー勝負のテニスが増えて、ネットに出るためのチップ&チャージを使うチームがほとんどいない状況です。
十数年前は、ダブルススペシャリストしか使わなかったIフォーメーションを、ほとんどのチームが行うのは、シングルスプレーヤーにとってIフォーメーションはシングルスのプレーに近く、サービスのパワーで押して、浮いたリターンをボレーで決めるなどがやりやすいのです。このようなことをきっかけにダブルスをより理解してもらいたいと思います。
テリトリーの変化をチェックしよう!
サーバーチームはレシーバーに「バックハンドを打たせる」計画
サーバー側の前衛は、レシーバーがショットするぎりぎりまで、「動く」のか「ステイ」するのかを隠したことで、レシーバーは「動く」と読んでダウン・ザ・ラインを選択。しかし前衛がそこに「ステイ」したため、ボールが前衛の近くに飛んできてネット際でボレーを決めました。
Iフォーメーションのやり方と効果
サーバーと前衛がセンター寄りにポジションし、ほぼ縦一列に並んで始まる陣形を、アルファベットの「I」にたとえて「Iフォーメーション」と呼びます。サーバーはシングルスに近いポジションからプレーし始め、前衛はサービスが入ったらネット前で動きます。前衛がどこへ動くのかを隠すことによるポイントの駆け引きです。
サーバーチームはどのようにポイントを取るかを事前に話し合い、サーバーはどこにどのようにサービスを打ち、その後、2人はどのようにテリトリーをカバーするのか(動くのか)、計画してからプレーを始めます。
サービスのコースは主にセンターやボディが多くなり、それはレシーバーをセンター付近に寄せて角度のついたリターンを打たせない、テリトリーを狭める狙いがあります。もちろんサービスを読まれないように、裏をかくサービスも必要ですし、何よりサービスの質がよくなければ主導権は握れません。
前衛は、レシーバーに対するテリトリーの真ん中にしっかりと構えることにより、レシーバーに簡単にパスを打たせません。それと同時に、レシーバーがショットするぎりぎりまで、ボレーをするために動くのか、それともステイするのかを隠して、レシーバーにリターンのコースを迷わせます。そこにチャンスが生まれます。
Q サーバーが左利きの場合、あるいは相手が左利きの場合に変更することはありますか?
A たとえナダルのような強いスピンサービスを打つ選手が相手でも、基本的なことは変えません。相手がショットする位置に対する「テリトリー」をベースにプレーします。そのほうがやるべきことがはっきりしてシンプルです。
強いスピンサービスなど、ボールの種類に合わせて「テリトリー」を考えると情報が多くなって、混乱する原因になります。私が指導するイギリスの選手たちはみんな、「相手がショットする位置に対するテリトリー」、すなわち同じシステムを理解しているので、誰と誰がチームを組んでも通じるシステムです。
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