ルイ・カイエ_最新ダブルス入門_vol.01「テリトリーの言葉を覚えよう」_初心者から国際レベルのプレーヤーまで、同じアプローチで上達できる!

チームプレー ②
ワイドサービスでレシーバーを崩してボレーで決める
例えばこのようなチームプレー、マレー兄弟の場合
計画を立てる

プレー前にサーバーのジェイミーと前衛のアンディは近づいて言葉を交わします。「レシーバーをコートの外に追い出すから、甘い返球を誘ってボレーで決めよう」などと、計画していたのではないでしょうか。
毎ポイント2人は必ずコミュニケーションをとります(イギリス選手にはそう指導しています)。その際、サービスのコースを確認します(あるいはサーバーがサービスを打つ前に、前衛が背中に片手を回してサービスコースを指で指示するなどのサインプレーもあります)。計画的なプレーにより「テリトリー」の準備をすることができるのです。
また、そのように計画的にプレーする態度を相手チームに見せることで、相手は考える必要が出てきます。楽にプレーをさせない意味でもこれらの行動は重要です。
正確に構える

サーバーのジェイミーも、前衛のアンディもレシーバーの返球に備えてカバーすべき場所、「テリトリー」の真ん中にきちんと構えています。相手レシーバーチームも同様です。
前衛のアンディに注目していきますが、アンディが注意しなければいけないのは、ワイドサービスが入ることを事前に知っているからといって、早々にポジションをサービスコースに合わせてサイド寄りに変えないことです。相手に計画がばれてはパスを抜かれてしまいます。相手には情報を与えず、たくさん考えさせてミスを引き出します。構えたときから駆け引きは始まっているのです。
連続写真でより詳細に見ていこう
では、ワイドサービスからボレーでポイントを獲得したマレー兄弟(左利きが兄ジェイミー、右利きが弟アンディ)の連続写真から、彼らが何をしようと計画し、どのように実行したか、想像も含めながら写真1から8へ見ていきます。
ジェイミーがワイドサービスを打つ
ジェイミーは計画通りにワイドサービスを打ちます。前衛のアンディは耳を澄まし、サービス音をよく聞いて、予定通りかどうか情報を得るようにします。例えば、回転量が多い音はスピン系、回転量が少ない音はフラット系、ガシャっという音はミスショットなど、テリトリーの調整に役立てます。

アンディはテリトリーの真ん中を保ちつつ、スプリットステップで前進し始める

レシーバーの返球位置を見て、テリトリーを調整。一歩サイドに寄る

レシーバーがコートの外に追い出され、体勢を崩してリターン。アンディはそれをよく見て、テリトリーを調整。一歩サイドに寄る

レシーバーの返球が浮いた



レシーバーがショットする位置に応じて、テリトリーを調整したアンディの懐にボールが入ってきて、簡単にボレーを決めた。マレー兄弟の計画通りに進んだポイントだった
注目!
アンディの動きは「非常にカーム(平静)」
アンディの動きに焦点を当ててもう一度見ていきましょう。アンディの動きは非常に少なく、安全にプレーしていることがわかります。マレー兄弟の計画通りに進んだポイントなので、慌てる必要がなく、また、テリトリーをよく理解していますから余計な動きをしていません。
アンディは常にテリトリーの真ん中をキープしてスプリットステップをしています。スプリットステップもただ上にジャンプするだけでなく、一歩前進しながら、ネットにつめていきます。ネットに近づくほどテリトリーは狭くなり、ネットから離れるほどテリトリーは広くなるのです。
アンディはワイドサービスが入ることを知っていましたが、レシーバーが打つ直前まで、サイド方向に動くのを我慢しました。アンディがサイド方向に動くのはレシーバーがショットするときで、レシーバーの位置がサイドになったのを確認した上でサイドに寄っています。そのときも一歩ネットに近づき、テリトリーを狭くし、落ち着いてボレーを打ちました。
注目!
テリトリーは変化するがいつも真ん中がベース!
現在のテニスはあらゆるレベルでボールスピードが「速い」ため、非常に時間が少ないです。そのため無駄な動きを極力省き、正確なポジショニングをすることが大切。常にテリトリーの真ん中にいるようにします(もちろん必要に応じて変化させることもあります)。
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