日比万葉「50の質問」テニスは楽しくなかったら意味がない|Player File 11

写真◎日比万葉(Getty Images / テニスマガジン)


「50の質問」で選手たちの素顔に迫るスペシャルインタビュー企画。今回、登場してくれるのは雌伏の時を経て5年半ぶりにグランドスラム本戦出場を果たした片手バックハンドの個性派、日比万葉だ。(テニスマガジン2021年5月号掲載記事)

(※掲載時のまま) 
ひび・まよ●1996年4月3日生まれ。大阪府出身。2歳半でアメリカに移住し、5歳でテニスを始める。2012年にヒルトンヘッド・アイランド1万㌦大会で初のITFタイトルを獲得。13年USオープン・ジュニアでベスト4入りし、プロに転向。15年USオープンで予選を突破してグランドスラム本戦初出場。以降、思うような結果が出ない時期もあったが21年オーストラリアン・オープンで久々の本戦出場を果たし、さらなる飛躍を目指していく。世界ランク自己最高は単157位(20年2月3日付)、複378位(14年5月26日付)、最新ランクは単174位(3月8日付)。グラムスリー所属

取材・構成◎杉浦多夢 写真◎Getty Images、BBM、本人提供

初めてのグランドスラム本戦では頭が真っ白になってしまった

Q1テニスは何歳から始めましたか?

「2歳半のときに父の仕事の関係でアメリカに引っ越して、4、5歳の頃から始めました。父がすごくテニスが好きで、家族をテニスコートに連れていってくれて、いろいろ教えてくれました」

Q2テニスにはすぐにはまりましたか?

「私は覚えてないんですけど、両親によると最初はまったく興味がなさそうだったと言っていました(笑)」

Q3テニスが楽しいと思うようになったきっかけは?

「大会に出て、試合に勝ったときの喜びはほかの習い事では感じられない経験だなと思って。それが本当に楽しいと思うようになったときです」

Q4ほかにはどんな習い事をしていましたか?

「最初に始めたのがバレエ。ほかにもダンスとか、ピアノは4、5歳から10年くらい習っていました。でもテニスは父がコーチで細かく教えてもらっていたので結果が出るし、次第にテニスに使う時間が圧倒的に多くなっていきました」

Q5ジュニア時代はどういう環境でテニスをしていましたか?

「7歳の頃に今も住んでいるアーバインに引っ越してきて、家から2分くらいのところに10面、車で5分くらい行けば20面のコートがあるという環境で。小学校はコートの隣だったので、学校が始まる前に朝練をして、そのまま歩いて学校に行く。中学、高校もそんな感じでしたね。基本的に父がコーチだったのですが、クリス・ルイス・コーチなどに教えてもらっていたこともあります」

Q6恵まれた環境だった?

「大会もたくさんあったので毎週末、出ていました。夏休みだと毎日、2~4試合やっていましたね。ジュニア時代を過ごした南カリフォルニアはフロリダと並んでレベルの高い場所だったので、遠征をしなくても強い子と試合ができる。いい環境だったと思います」

Q7片手バックハンドになったきっかけは?

「父が最初から片手バックしか教えてくれなかったので。きっかけも何もほかに選択肢がなかった。両手バックを教えてもらったこともないですし」

Q8ジュニア時代に一番思い出に残っている大会や試合は?

「一番の思い出になると初めて優勝した8歳以下の大会かな。8歳以下だと4ドローとかなんですけど、2つ目の大会で優勝することができて。そのときのトロフィーが本当に大きくて、今でもそれより大きいのはもらったことがないくらい。『テレビで見ていたトップ選手みたい!』とすごくうれしくて、それがテニスにはまるきっかけにもなりました」

Q9 13年のUSオープン・ジュニアでベスト4に入ったときの思い出は?

「グランドスラム・ジュニアは12年と13年のUSオープン・ジュニアしか出たことがなくて。それまでグランドスラムの会場にも行ったことがないし、アメリカのトップジュニアとは試合をしていましたが、世界のトップジュニアと戦う経験もなかった。すごく緊張したし、新しい経験だったけど、ベスト4に行けたことは自信になりました」


2度目のUSオープン・ジュニアでベスト4入り

Q10その自信が13年12月のプロ転向の決断につながった?

「ものすごく悩みました。UCLAに行こうと一度は決めていたくらい。でもプロになるのは夢だったし、大学で時間を過ごすのと、うまくいかなくてもプロで経験を積むのと、どちらがやりたいのかと考えたときに、やはりプロになろうと思いました」

Q11かなり悩んだ末の決断だった?

「それでもテニス選手としての時間は限られてるし、学校にはいつでも戻れると思って。どちらの選択肢が悔いが残らないかと考えた末に、『プロでやってみよう』と決断しました」

Q12 15年のUSオープン予選を突破して初めてグランドスラム本戦に出場したときの気持ちは?

「『え~!』みたいな感じで、びっくりして。何が起きたかわからないくらいでした」

Q13グランドスラム本戦の舞台はどうでしたか?

「自分がそこにいるんだという感覚がなくて、まったく試合に入れないまま終わってしまいました(サラ・エラーニとの1回戦で0-6、1-6)。当時、エラーニはトップ20に入っていて(16位)、そんなランキングの高い選手と当たったこともないし、お客さんも入っていたし、頭が真っ白になって、あたふたして、完全に空気にのまれてしまいました」


15年のUSオープンで初のグランドスラム本戦の舞台に立ったが……


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