強い選手は「ボールの後ろをとる」_フットワークをチェック!
テニスは基本的に、相手ができること——ショットやコース、スピード、回転などの選択——を限定させて、一方で、あなたは限定されることなく自由自在にどこにでも打てる状況にあると、あなたの勝ちとなります。そういう状況をつくるのが、「ボールの後ろをとる」フットワークです。(2018年8月号掲載記事)
解説◎駒田政史
こまだ・まさふみ◎1973年3月30日生まれ。愛知県出身。名古屋学院高校、亜細亜大学卒。全日本ジュニア18歳以下複優勝、全日本大学王座優勝、全日本選手権複優勝(大学4年時)。卒業後はミキプルーン所属で8年間選手活動、その後、2003年より竹内庭球研究所に所属し、11年間ナショナルコーチ(フェド杯、アジア大会、ジュニアフェド杯監督、ユースオリンピック監督)を務めた。現在は関西を中心にプロ選手、ジュニア選手の強化とともに、日本テニス界の環境整備(普及から強化のシステム作り)に力を注いでいる
写真◎毛受亮介、宮原和也、Getty Images
ボールの後ろをとると、どういう限定が起きる?
あなたがボールの後ろをとると、相手はできることが限定され、一方であなたは限定されることなく自由自在に、主導権を握ってプレーができます。一般的にはそういう状況を予測がいいと言ったりもしますが、言い方はいろいろあるにせよ、私は「ボールの後ろをとる」フットワークで、その状況を目指します。
例えば、サッカーのフリーキックの場面では、ゴール前に壁をつくることによって、キッカーが打てる場所を限定させています。 ゴールキーパーは壁があることで、ボールが来る場所が限定されて守りやすくなります。また、バレーボールのアタックもブロックがあることによって、ボールを通せる場所を限定させています。
↓フリーキックの場面では、壁をつくりキッカーが打てる場所を限定させる
↓アタックの場面で相手は、ブロックによってコースを限定させる
テニスでは「ボールの後ろをとる」ことで、どういう限定が起きるかというと、例えば相手を動かして、もはやクロスには引っ張れない打点で打たせたり、高く弾む重いスピンボールによって、力の入らない肩より高い打点で打たせたり、どこにでも打てる構えで、相手に次の打球を予測させず動きを止めたり(錦織選手の例)、相手を振り回して最後はロブを上げさせたり、そのように相手にショットを限定させるには、あなたがボールの後ろをとり、先にいいボールを打つということです。
言い換えると、先にいいボールを打つということは、ベストな場所に足を着いて打つということ。そうすると、ボールを強くも打てるし、スピンもかけられるし、コントロールもできるし、主導権をとって、自由自在にプレーでき、相手のプレーは限定させることができます。
↑ボールの後ろをとった錦織選手は同じフォアハンドの構えから、ドロップショットとフォアハンドを打っている。この構えをされたら、相手は次が予測できない(プレーが限定される)
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