レシーブ力を下げるサービスのバラエティと騙し

サンプラスもフェデラーも
すべてのサービスをまったく同じように打つ
だからレシーバーは苦しむ

9レシーブ力を下げるサービス
サービスの騙し、惑わし

 騙し、惑わしは戦術と同様に技術からもくる。グランドスラム優勝14回を誇り、史上最高クラスのファースト、セカンドサービスを放ったサンプラスは、どのようにサービスで相手を騙していたのだろうか? 彼はこう説明する。

「トスで相手を惑わしたんだ。スライス、キック、フラットとどのサービスにおいてもまったく同じようにトスを上げていた」

 では、サンプラスのサーブ&ボレースタイル、またサーフェスによってサービスの種類はどのように関連していたのか?

「違いはほんのわずかなこと。サーブ&ボレーをするときは、トスを少しだけ前に上げていた。サーフェスによってサービスを変えることはなかったが、ひとつだけ違うポイントは自分の意図。クレーでは、グラスコートほどサーブ&ボレーを使わなかった。そのためにトスの変化はほとんどなかったと思う」

 2017年にウインブルドン8度目の優勝を飾り、サンプラスの記録を塗り替えたフェデラーも、サンプラスと同じ方法でサービスをあらゆる方向へ打ち分けることができる。ラファエル・ナダルの叔父で長くラファのコーチを務めてきたトニー・ナダルは『Fedegraphica “天才ロジャー・フェデラーの写真集伝記”』で次のように語っている。

「ロジャーはすべてのサービスをまったく同じトスで、素晴らしい精度で打つことができる。だからこそ、彼と対戦する相手は苦労するんだ」

「彼のサービスはどこにくるかまったく予想できず、いつの間にかライン上をかすめて自分の横を通り過ぎてしまうんだ」

 セレナ・ウイリアムズはサンプラスのサービスを真似することで、同じようにどこに打つか相手に読まれない術を身につけた。時折、セレナの対戦相手は完全に逆を突かれてしまい、彼女のサービスに対して一歩も動けないケースも見られる。

ロジャー・フェデラー

ロジャー・フェデラー

ピート・サンプラス

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