レシーブ力を下げるサービスのバラエティと騙し

狙うべきターゲットは3つ以上ある
2つしか使わないのはもったいない!

6レシーブ力を下げるサービス
ボディサービスでレシーバーを無力にする

 実際、あまり使用されておらず、あまり好まないサービスで、エースを奪うのは難しい。だが、正確に決まればレシーバーにエラーをさせたり、弱い、短いリターンを誘発させ、簡単にポイントを奪うことができる。

 ピート・サンプラスやロジャー・フェデラーのスーパースターを指導したポール・アナコーンは、このような指摘をする。

 「せっかく狙うべきターゲットが3つもあるのに、2つしか利用しないのはもったいない話だ」

 最高のピッチャーは、ど真ん中以外のすべてのストライクゾーンを使って打者を惑わせる。インコースを使って打者を無力にすることには熟達している。テニスのサービスでも同じ戦術を取り入れるべきだ。

 ボディサービスを受けるレシーバーは、自分に向かってくるボールに対して素早く反応できない。手足の長い長身レシーバーに対しては特に効果的だ。アナコーンは次のようにアドバイスする。

 「手足の長い選手に自由に手を伸ばしてスイングさせてはいけない。相手の背が高ければ高いほど、ボディサービスを多く打つべきだ」

 動きの鈍い選手や疲れている選手は、スピードのある正確なボディサービスをリターンするのに苦労する2つの理由がある。まず、体を素早くボールのコースから離す(外す)ことができず、バランスを崩すこともある。また、理想的なボールのコンタクトポイントより遅くラケットが出てくることもあるのだ。

サーバーが狙うべきターゲットは3つある!
サーバーは❶センターと❸ワイドだけでなく、❷ボディも狙う。これを使うと特に手足の長い選手のほか、疲れている選手は動きが鈍く、体を素早くボールのコースから離す(外す)ことができず、バランスを崩したり、理想のコンタクトポイントで打てなくなる。

手足の長い選手に自由に手を伸ばしてスイングさせてはいけない。写真は身長208cmのイズナー

レシーバーの右腰に食い込むボディサービス

ボディサービスでレシーバーを無力にする最良の方法

方法 ❶ レシーバーに体をずらして打たせる

 右利きのサーバーは、デュースコートからレシーバーの左尻に鋭く食い込むスライスサービスを打つことだ(左利きのサーバーは、アドサイドからレシーバーの右尻に鋭く食い込むスライスサービスを打つ。

 レシーバーは自分に向かってくるボールを避けようとするが、ボールはどんどん体のほうへ向かってくるというわけだ。ただし、サービスが正確でなければ、レシーバーは自信をもって腕を伸ばしてボールを打つことができる。また、サービスのスピードが足りないと、レシーバーは正しく体を合わせるための時間を確保できる。サービスにスライス回転が足りないと、レシーバーは簡単にそのスピンに対応できてしまう。だから、ミスをしないように打つ平凡なボディサービスでは裏目に出ることが多い。

方法 ❷ 立つ位置、風、速いボールとサーフェス、レシーバーの位置を生かす

 正確性、パワー、深さ、スピンに加え、ほかのバラエティもボディサービスに追加できる。①立つ位置、センターマークからの距離を変えてみることだ。80㎝の位置から始めて、1.8mまでの間でどの距離が一番いいかを決める。②もし斜めに追い風が吹いているなら、それを生かしてより食い込みのきついボディサービスを打つ。③速いボールやサーフェスはボディサービスをより効果的なものにしてくれる。④レシーバーのポジションが非常に重要である。ベースライン上、あるいはコートの内側に構えているなら、対応する時間が短くなるので、ボディへのスライスサービスはより効果が大きくなる。

方法 ❸ レシーバーを驚かす、使うタイミングと頻度を考える

 最後に、戦術的に判断しなければならないことがある。

 一つはボディを突くタイミングだ。これまでに挙げたバラエティは置いておき、ビッグポイントでうまくいく自信があるのなら、そこで使うべきだ。それがセカンドサービスなら、いつもよりかなり速く打たない限りボディサービスが成功することは少ない。

 もう一つは、どれくらいの頻度でボディサービスを打つべきか、だ。打てば打つほど相手にとっては驚きではなくなり、それに対処しやすくなることを忘れてならない。相手を“驚かせる”ことが有効に使うためには欠かせない要素だ。

ラファエル・ナダル

続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録

Pick up

Ranking of articles