レシーブ力を下げるサービスのバラエティと騙し

サービスは相手にわからないようにパワーの量、スピンの種類を変化させるべきだ

事前にどうなるかわかるなら、相手は素早く正確に反応できてしまう

 野球のバッター、クリケットのバッツマン(打者)、テニスのレシーバーが、投手の投球、ボール、サービスがどのようなものか、アガシのように事前にわかれば、どうなるのか想像してみよう。毎回、素早く正確に反応することができるだろう。しかし、それが実際に起きるのは極めて稀である。対戦相手との複雑な戦術のいたちごっこは、すべてのプレーやポイントの始まりにおいて考えられている。

 野球のピッチャーは自分の狙いを隠すために、同じモーションで投げようとし、キャッチャーは打者を混乱させるために投球のバリエーションを考える。プロの打者が2割5分を少し超える程度の打率しか残せないのは、ボールを読むことの難しさが大きな要因となっている。

野球のピッチャーは自分が投げるボール、狙いを隠そうとし、キャッチャーも打者を混乱させるため投球バリエーションを考えている

 クリケットのボウラー(投手)はバッツマン(打者)をアウトにしようと企むキャプテンやウィケットキーパー(捕手)から戦術的なアドバイスを受けている。

 テニスのサーバーは基本的には戦術的なアドバイスを受けられないが(ダブルスを除く)、あらゆる方法でレシーバーの予想を外す努力をしている。

 どれほどサービスがパワフルで深く、正確であろうとも、もっとも効果的なのはイマジネーション豊かに〈変化〉させたときである。野球の打者、クリケットのバッツマン、テニスのレシーバーは、ステレオタイプで予想がたやすいボールに対してのみ、自信をもって踏み込むことができるのだ。80年代のチャンピオン、ジョン・マッケンローは「スポーツで“予想できてしまうこと”以上に最悪なことはない」と述べている。実際、テニスのサーバーは多様さと策略が多ければ多いほど、よい。

 ここからは、相手レシーバーを混乱させ、レシーブ力を下げるためにサービスに多様性をもたせ、相手の裏をかく10の方法を紹介しよう。

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